信州のご隠居ファームSHINSHU GOINKYO FARM
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米の収穫が待ち遠しいです

米の収穫が待ち遠しいですの写真

夏の田んぼ、穂が実ってきた日のこと

8月に入って、朝晩はまだ蒸し暑さが残っているものの、日中の日差しはどこか秋の気配を感じさせるようになってきた。そんなある日、久しぶりに車を走らせて田んぼの様子を見に行くことにした。

久しぶりの田んぼ

田植えをしたのはついこの間のような気がしていたのに、もう8月。時間が経つのは本当に早いものだ。車を停めて畦道に足を踏み入れると、抜けるような青空の下に、青々とした稲が一面に広がっていた。遠くには緑濃い山が稜線を描いていて、その手前に田んぼが広がる景色は、何度見ても気持ちがいい。風が吹くたびに稲穂がさわさわと揺れて、まるで緑の絨毯が波打っているように見える。

近づいてよく見てみると、稲の先端からちょうど穂が顔を出したばかりだった。まだ籾は黄緑色で、穂の先には芒(のぎ)と呼ばれる細い毛のようなものがツンツンと立っている。出穂して間もない、いかにもフレッシュな穂という感じだ。この時期の稲を見るのが、実は一年の中でも一番好きな瞬間かもしれない。田植えの苦労も、真夏の草取りの大変さも、この穂を見た瞬間にすっと報われる気がするからだ。

穂が実るということ

稲の穂が出て、そこに花が咲き、受粉して籾(もみ)が膨らんでいく——このプロセスを「出穂(しゅっすい)」と呼ぶのだが、今年は天候にも恵まれたおかげか、例年よりも穂の出方が揃っているように感じた。

穂を一本手に取ってみると、まだ籾は柔らかく、指で軽く押すと少しへこむくらいの硬さだった。これがあと数週間もすれば、しっかりと硬くなり、頭を垂れるほど重たくなっていく。稲穂が実るにつれて頭が下がっていく様子は、昔から「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざにもなっているけれど、実際に自分の目で毎年見ていると、本当にその通りだなと感じる。青々と天を向いていた若い稲が、実りとともに謙虚に頭を下げていく——その変化を見るたびに、なんとも言えない感慨がある。

今年の田んぼの様子

今年は梅雨の時期の雨量がちょうどよく、水管理にもそれほど苦労しなかった。真夏の暑さは厳しかったものの、幸い病害虫の被害も今のところ大きくは出ていない。田んぼ全体を見渡してみると、色ムラも少なく、穂の出そろい方も揃っている。これなら、うまくいけば例年並み、もしかするとそれ以上の収穫が期待できるかもしれない。

もちろん、油断はできない。台風がひとつ来るだけで状況は大きく変わるし、この先の高温障害や病気のリスクもゼロではない。それでも、こうして順調に育っている稲を目の前にすると、素直に嬉しい気持ちになる。

田んぼで感じること

正直なところ、農業は決して楽な仕事ではない。早朝から作業をして、天候に一喜一憂し、思い通りにいかないことも多い。それでも、こうして田んぼに立って、風に揺れる稲穂を眺めていると、この仕事を続けてきてよかったと思える瞬間がある。

特にこの時期——穂が出て、実りに向かって少しずつ変化していく様子を見られるのは、農家ならではの特権だと思う。スーパーに並んだお米しか知らない人には、この過程はなかなか想像がつかないかもしれない。でも、種籾を選び、苗を育て、田植えをして、水と草の管理をして、ようやくたどり着くこの穂の時期は、一年の努力が形になっていく大切な節目だ。

これからの季節に向けて

これから9月にかけて、穂はさらに実りを増し、色づいていく。稲刈りの時期が近づくにつれて、また忙しくなるだろう。台風シーズンでもあるので、天気予報とにらめっこしながら、収穫のタイミングを見極めていく必要がある。

とはいえ、今日見た田んぼの様子を思い出すと、自然と気持ちが前向きになる。今年もいいお米が収穫できますように——そんな願いを込めて、また明日から日々の作業に向き合おうと思う。

田んぼに吹く風、揺れる稲穂、そしてじわじわと実りに向かっていくその過程。何度見ても、この景色には特別な力があると感じる夏の一日だった。

青空の下で気持ちよさそうに風に揺れる穂を見ていると、根拠はなくとも「今年は美味しいお米ができそうだな」と自然に思えてくる。あとは天候が大きく崩れないことを祈りつつ、実りの秋に向けて、また日々の田んぼ仕事に励んでいきたい。